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10代を過ごした地元の夏祭りが恋しい。「だぼ」と呼ばれる祭りの格好をして神輿を担いで海に入ったり、海と神社の間に停められた山車に乗り込んで太鼓を叩いてた。太鼓は「お囃子」と言って祭りの前の1ヶ月ほど、夜の町内会館に集まって練習する時間がある。山車は小太鼓が2つと大太鼓が1つ乗せられた乗り物で、人は5人くらい乗ることができる。移動の方法は完全な人力で、綱をひいてくれる人がいて初めて乗り物となる。

町内会ごとに山車と神輿があって、それぞれが昼間の町中を周回した後、最終的に海の近くの神社に集まって、合戦のような状態になる。人もぎゅうぎゅうに多くて太鼓の音や笛の音が四方八方から聴こえて、怖くて優しいおじさんたちが喋るたびにお酒の匂いがする。海の匂いとみんなが体に吹きかける筋肉を冷やすためのスプレーの匂いが混ざってとてもトランシーな香りになる。意識と身体が混沌の一部になっていくような原体験。それでも、2日間の祭りの終わりにあるのは「この日が終わったらまた普通の日が来る」という寂しさ。準備段階からの町の空気含めて夏の祭りはドープな文化。恋しい。